Tawagoto Club

友帰る

友帰る
一夜の宿を後にして

秋初め
彼岸の家に友は今
喜びのなか安らぎ遊ぶ

往くなとは
言うわけもなし往くところ
どこにもなしとそよ風の吹く

kuuhaku


kuuhaku

40年来の親友が肉体を離れた。

kuuhaku

穏やかな朝、穏やかな顔で彼は帰っていった

もともとホトケさんのような顔をしていたが、笑みを浮かべたその顔にはやわらかな光が降り注いでいた。

この10日くらい前に彼の奥さんから「もうそろそろかもしれない」という連絡があり、療養している自宅に伺った。

この頃は食べ物もほとんど摂れず、すっかり痩せてしまった彼だが少ない言葉や表情から、この世、あるいは肉体に対する執着がほとんど消えているような印象を受けた。

肉体から離れた後、光が現れるので、眩しいかも知れないけれど躊躇せずその中に入っていくことや、もともと生命(自分)は形のないものであって、身体がなくなっても相変わらず生き続けていることなど・・
こんなことを話すことができた。

無論、彼自身、多くの宗教的体験を積んでいるので、こういった事柄は百も承知のことだ。

しかし、いわゆる「死」というものを眼前に見ている人と笑いながらこのような話ができるというのは希有なことのような気がする。

やはり彼はたいしたものだ・・と思った。

さすがに「宇宙の王者」だ・・!
小生は親しみを込めていつも彼のことをこう呼んでいた。
宇宙の王者・・このアダ名を彼が気に入っていたかどうかは不明だが、これに関して一切不満を聞いたことがなく、いつもニコニコと笑ってくれていた。

よく遊んだ。

同じ宗教を学んだ時期もあったが、道を異にした後もそんなことは一向に気にもせず付き合ってくれた。

会う機会は減ったが、間が空いてしまっても遊びに誘うと必ずといっていいほど来てくれた。
テニス、飲み会、旅行、寺の行事、落語等など・・ともかくいっぱい遊んだ。

連絡が滞る時もあったが、いつもココロの奥底には彼がいたような気がしている。

「ムカシから付き合ってきて、本当に友と呼べるのはこのヒトだけなんですよ、ありがたいと思っているんですよ」と側にいる奥さんに話しかけると彼は、「こちらの方こそです」と小さいけれどハッキリした声で言ってくれた。

嬉しかった・・!その言葉が本当に嬉しかった。

友だちでいてくれてありがとう・・
これからも変わらずに友だちでいてください。

彼が肉体を離れたと連絡を頂き、早朝お宅に伺った。

弥勒菩薩のような、穏やかな笑みを浮かべた表情を見た時、また思った。
「さすが!さすがは宇宙の王者!」

宇宙の王者・・?
何でかって?
彼を知っているヒトならワカルはずです。
そういう感じなんですよ・・!

しかしまあ・・
よう涙出る・・

kuuhaku

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